「復活祭(イースター)と卵のお話」(編集委員:T.T.)
ここではマグダラのマリアと赤い卵のお話を。
映画「ダヴィンチコード」でも大きく取り上げられ、日本でもその名を広めたキリスト教の聖女マグダラのマリア(英名はメアリ・マグダレーン Mary Magdalene)とは、イエスに従いイエスの死と復活を見届けた聖人のこと。新約聖書中の福音書に登場し、西洋絵画でもよく描かれています。イエス・キリストの復活・昇天後、マグダラのマリア(しつこいですが聖母マリアではありませんので)は福音を伝えるべくローマを訪れました。当時のユダヤには鶏卵を贈る習慣があり、彼女も普通の白い鶏卵を献上品として持参しました。
ローマ皇帝に拝謁したマグダラのマリアは、白い卵を献上しつつ『イエスは復活しました』と伝えたところ、時の皇帝ティベリウスは全く信じようとせず(そりゃ無理もありませんが)、『死者の復活など、この白い卵が赤く変わる以上にあり得ない』と、マグダラのマリアの言葉を一蹴しようとしたその瞬間、白かった卵は見る見るうちに血のような赤い色に染まっていき、たちまち真っ赤に染まったタマゴにその姿を変えたといいます。
現代の復活祭(イースター)において、赤い卵が欠かさず用意されるのを目にしますが、これは上述の逸話がルーツの一つになっているようです(当然諸説ありますが)。
「新約聖書」の最後の晩餐のシーンが元でワインはキリストの血、また、パンはキリストの肉体ということになっているのとは起源も話も違いますが、赤く色付けられたイースターエッグはキリストの血と復活の象徴だとか。ごく最近某マートさんで規制緩和によって日本から輸入された「赤玉」を見かけましたが、これは復活祭とは無関係。ひところもやし同様に物価の優等生と言われ、スーパーの特売には欠かせないたまごも昔は献上品だったのですねぇ。
編集委員:T.T.